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8月, 2013の投稿を表示しています

TPPを締結できるか ―日本国憲法から考える

日本国憲法はその制定過程に疑義があるが、陛下の御名御璽のもと、施行されたのであるから、現在の政府はそれを遵守しなければいけないことは当然だ。しかし今回TPPについての議論を憲法の論点から整理をしながら思うことは、憲法を国会議員が全く意識していないし、ましてや遵守など微塵もされていないことに愕然とする。条文は、
第九十九条  天皇又は摂政及び国務大臣、国会議員、裁判官その他の公務員は、この憲法を尊重し擁護する義務を負ふ。 つまり、政府関係者は尊重擁護する義務があるのだが、自らの権限範囲つまり既得権擁護の議論にしか終始していないことには悲しみを覚える。

まずTPPなどの多国間協定は名は協定だが国家間の約束であるから、条約法に関するウィーン条約で定義される「条約」である。
第二条 用語
1 この条約の適用上、
(a) 「条約」とは、国の間において文書の形式により締結され、国際法によつて規律される国際的な合意(単一の文書によるものであるか関連する二以上の文書によるものであるかを問わず、また、名称のいかんを問わない。)をいう。 さらに関税などの通商に関わる条約を通商条約といい、現在はWTO・GATTで規定されている。日本国憲法では、条約などの外交交渉は、内閣の専権事項である。
第七十三条 
三  条約を締結すること。但し、事前に、時宜によつては事後に、国会の承認を経ることを必要とする。 しかし、内閣は事前に、時宜によつては事後に、国会の承認を経ることを必要とするとあるように、締結した条約の批准は国会の権限になる。国会が批准しなければ国内的な効力は発生しない。

日本国政府は世界貿易機関を設立するマラケシュ協定を締結批准しWTOの構成国である。これは憲法の九十八条第2項の規定により国内法を改正して対処しなければならない。
第九十八条  この憲法は、国の最高法規であつて、その条規に反する法律、命令、詔勅及び国務に関するその他の行為の全部又は一部は、その効力を有しない。
2  日本国が締結した条約及び確立された国際法規は、これを誠実に遵守することを必要とする。 しかし憲法の条規に反する如何なる法律、命令、詔勅、及び国務に関するその他の行為の全部又は一部は、その効力を有しないとあるように、もし内閣が事後承認を要求した場合、締結した条約は国際的な効力を発生させるとされるのだが、国内的…

合衆国憲法及び合衆国国内法とTPP ―まとめ

以下はTPPってなに?でリアルジャーナリスティックに議論を展開される石塚幾太郎さんが作成した、TPP交渉にあたって関係する米国憲法及び国内法の関係とその成立過程をまとめたものだ。(一部URL表示をリンクに取り込んだ)

TPAの成立過程
1.憲法上の通商交渉権限規定

(1)合衆国憲法
合衆国憲法立法部第8条第3項に「通商交渉権限」が議会にあり、執行部第2条第2項に「条約締結権」が上院の助言と承認のもとに大統領が有していることが記載されている。

「通商協定」の批准は、上院3/5(60名)、下院過半数の可決が必要。条約の批准は上院2/3の可決が必要である。

合衆国憲法(在日米国大使館)HP

(2)日本国憲法
日本では、憲法第76条第3項の規定により、通商協定も条約であり、締結は内閣の専権事項になっている。国会は、締結された条約(通商協定)を批准するか否決するかの採決を行う。 2.世界恐慌からの脱出
1930年、世界恐慌の経済対策として、米議会は、大幅な関税引き上げ(1930年関税法)を可決し、施行した。この動きが世界中に拡散し、いわゆるブロック経済の対立を生み出し、第二次世界大戦の原因ともなったと言われている。

関税引き下げを訴え当選したルーズベルト大統領は、1934年関税引き下げの権限を議会から獲得することに成功する。(1934年互恵通商協定法)この法律は時限法であるが延長を重ね1967年失効するまで継続する。

3.ケネディラウンド合意の議会不承認
GATTケネディラウンド(1964~67年)で、議会が政府の合意した協定を部分的に受け入れなかった。(国際アンチダンピング・ルールと米国非関税障壁ASPの撤廃)

国際アンチダンピングについては、米国法(1921年アンチダンピング法)のコード(品目)と一致するもののみ適用とする法律(90-634)を成立させ、ASPについては、国内実施法を成立させなかった。

この時、通商協定より国内法が優先することが、議会と大統領府の共通の認識になった。

4.1974年通商法の成立
このケネディラウンドの合意批准不成立が、交渉官が他国に信憑性を疑わせると心配、ニクソン大統領は東京ラウンドに向けて、ファストトラック法を1974年通商法に挿入する提案を行った。

上院の審議のなかで、議会と相談し、締結90日前には、必要書類を提出するルール、締結後、内…

電力会社国営にすべし ―電力会社はすでに違法状態である

原子力発電事業は実はもう破綻していて、ケンシロウ風に言えば「お前はもう死んでいる」ということになる。東京電力は正式名称東京電力株式会社という。つまり有限責任法人、営利企業といふことだ。原子力基本法には、民主的な運営という文言があるが、大株主が合法的に支配できる株式会社が民主的な運営なのかという疑問が残る。また、今回の事故でもそうだが、政府が損害を補填しなければならない営利法人とはなんなのか。そこで先に紹介した原子力損害の賠償に関する法律から再度検証してみよう。

第3条に、
第三条  原子炉の運転等の際、当該原子炉の運転等により原子力損害を与えたときは、当該原子炉の運転等に係る原子力事業者がその損害を賠償する責めに任ずる。ただし、その損害が異常に巨大な天災地変又は社会的動乱によつて生じたものであるときは、この限りでない。
2  前項の場合において、その損害が原子力事業者間の核燃料物質等の運搬により生じたものであるときは、当該原子力事業者間に特約がない限り、当該核燃料物質等の発送人である原子力事業者がその損害を賠償する責めに任ずる。 この規定は株式会社が事業によって事故が起きた場合には原子力事業者がその損害を賠償する責任があるとしている。しかし後段で異常に巨大な天変地変または社会的動乱の場合には免責されるとしている。さらに10条では、
第十条  原子力損害賠償補償契約(以下「補償契約」という。)は、原子力事業者の原子力損害の賠償の責任が発生した場合において、責任保険契約その他の原子力損 害を賠償するための措置によつてはうめることができない原子力損害を原子力事業者が賠償することにより生ずる損失を政府が補償することを約し、原子力事業 者が補償料を納付することを約する契約とする。
2  補償契約に関する事項は、別に法律で定める。 損害額が巨大になり電力事業者では補償できない場合は政府が補償することを約束している。2項の法律とは原子力損害賠償補償契約に関する法律で、第2条に、
第二条  政府は、原子力事業者を相手方として、原子力事業者の原子力損害の賠償の責任が発生した場合において、責任保険契約その他の原子力損害を賠償するための 措置によつてはうめることができない原子力損害を原子力事業者が賠償することにより生ずる損失を政府が補償することを約し、原子力事業者が補償料を納…

国際法では戦争は「罪」ではない ―反対派の暴論

憲法9条改正が現実味を帯びてきた昨今、9条と戦争にまつわる論考が各所で盛んだ。先だっては松本、北村両氏の歴史認識に意義を申し上げたが、今度は田原総一朗氏が、安倍総理が「侵略の定義はまだ定まっていない」という発言にワシントン・ポスト紙が「歴史を直視していない」と批判し、同様にイギリスフィナンシャルタイムが 「支持率の高さを受け、本性をのぞかせた」 と「経済政策に集中すべきだ」と苦言を呈したことについて、だが僕は、安倍さんの言動はともかく、 両紙の批判は間違っていると考える。長年、僕は日本の近代史を 取材してきた。 その結果、満州事変、日中戦争は 日本の侵略だったという結論に達した。 しかし、太平洋戦争は違う。 太平洋戦争は、「侵略国」である、 イギリス、アメリカなどの連合国、 そして同じく「侵略国」である日本との 闘いだった。 当時、イギリスもアメリカも、そして日本も 植民地を「持てる国」だったのだ。


と日本は中国を侵略した国であると断定した認識を示した。一見日本の立場を擁護しているかのようないい方ではあるが、結論は中国に対して侵略したといういわゆる自虐史観という従来の歴史認識だ。氏はこう続ける。
『ワシントン・ポスト』は、 「あの戦争はアメリカにとって正しい戦争だった」 という前提で安倍さんを批判した。 日本という「悪い国」を、 アメリカをはじめ連合国が やっつけたということなのだろう。 だから敗戦後、日本人は次々に 戦犯として裁かれた。 極東軍事裁判では、 「平和に対する罪」という罪名のもと、 A級戦犯が処刑された。 これもまた間違っている、 と僕は考えている。 そんな罪は、太平洋戦争の 前まではなかった。 連合国側が「平和に対する罪」を作り、 そして過去にさかのぼって、 日本を裁いたのだ。 今でいえば「事後法」で、 そんな裁きは到底、許されることではない。だが、その裁判の結果を 日本は受け入れた。 受け入れたことで日本は、 1951年、独立を認められる。 敗戦した国は弱いのだ。 細かいことをいえば批判できるが、対米英戦争(大日本帝国は国会でこの戦争を大東亜戦争と呼称するように決議したので公式には大東亜戦争が正しいが)を自衛戦争として肯定していること、及び極東国際軍事裁判がインチキだといっていることは評価できる。この論考を木走正水(きばしりまさみず)氏は批判をし…

TPPとはなにか ―GATT・WTO体制から考えるTPP

TPPというのはWTOが認めるGATT体制の例外で、自由貿易協定や関税同盟などの地域貿易協定のことだ。そのことについての議論が国会の場でもあまりされていないように思う。おがた林太郎元衆議院議員のブログそもそもFTAとはというエントリーがあり、自由貿易協定の根拠はガット24条だということを知らない議員が多いと指摘している。

経済産業省の説明では自由貿易協定(FTA: Free Trade Agreement)と関税同盟(Customs Union)を総称して地域貿易協定としている(RTA: Regional Trade Agreement)が、これらはGATT・WTO体制の例外として認められている協定で、それを規定しているのがガット24条という事になる。経済産業省のHPに関税及び貿易に関する一般協定、GATTの翻訳が掲載されている。
この協定の適用上、
(a) 関税同盟とは、次のことのために単一の関税地域をもつて二以上の関税地域に替えるものをいう。
(i) 関税その他の制限的通商規則(第十一条、第十二条、第十三条、第十四条、第十五条及び第二十 条の規定に基いて認められるもので必要とされるものを除く。)を同盟の構成地域間の実質上のすべての貿易について、又は少くともそれらの地域の原産の産品 の実質上のすべての貿易について、廃止すること。
(ii) 9の規定に従うことを条件として、同盟の各構成国が、実質的に同一の関税その他の通商規則をその同盟に含まれない地域の貿易に適用すること。
(b) 自由貿易地域とは、関税その他の制限的通商規則(第十一条、第十二条、第十三条、第十四条、第十五条 及び第二十条の規定に基いて認められるもので必要とされるものを除く。)がその構成地域の原産の産品の構成地域間における実質上のすべての貿易について廃 止されている二以上の関税地域の集団をいう。 TPPも含む地域貿易協定の根拠は24条にある。つまりTPPにも最恵国待遇が適用されるということだ。一応経産省のHPから最恵国待遇のPDFにリンクを張る。

WTOはその前進であるGATT(General Agreement on Tariffs and Trade) 関税及び貿易に関する一般協定が機関に昇格したものだが、実は国際通貨基金、世界銀行と並びブレトン・ウッズ体制の枠組みとして発足する…

正しいTPP止め方 ―違憲立法審査権

すでに交渉が始まって年内目標に妥結といっているにもかかわらず、議会もマスコミも巷間も内容ばかりに注目が集まつているように思う。条約が我が国の法律にどのような影響があるのか、その法律は違憲立法ではないのかの議論が不可欠なのだが。本来なら国会の場で行われるべき議論だがやってみよう。まず条約が効力を発行するためにはどのような手続きが必要になるのだろうか?

条約が多国間でありまた、我が国が外交に配慮して事前承認の手続き採用することを前提にすると、採択→署名→国会への提出→国会の承認→締結→効力の発生すなわち拘束の同意となるだろう。前稿で憲法違反な条約は無効といったが、それは我が国憲法に違反する立法は無効だということだ。違憲立法審査権は我が国では憲法81条によって最高裁判所に委託されている。 第81条 最高裁判所は、一切の法律、命令、規則又は処分が憲法に適合するかしないかを決定する権限を有する終審裁判所である。 違憲立法審査(他に違憲法令審査、法令審査、司法審査)権は19世紀初頭アメリカで始まったと制度とされている。なぜアメリカかというと、19世紀ヨーロッパは議会の世紀とよばれ、議会の権威が高く国民の信頼を得ていた。よって裁判所による違憲立法審査という制度は存在し得なかったのである。議会による立法が人権侵害を引き起こしたファシズムの教訓から第2次大戦後立憲諸国が採用したことが契機だ。

違憲審査には狭義に付随的違憲立法審査と憲法裁判所制、前者はアメリカ型と後者をドイツ型と呼れている。アメリカ型とは通常の裁判所が具体的な訴訟事件で手続き中、その訴訟の判決に必要な限りにおいて、違憲立法審査権を行使する制度をいう。アメリカ型は第一義的に個別の憲法上の権利救済であり、それを通じて憲法規範の客観的保障もされる。ドイツ型とは憲法裁判所が、違憲立法審査を通常の訴訟事件とは離れて抽象的に法令や国家行為の違憲審査を憲法裁判所が行うものである。憲法裁判所制は第一義的に憲法秩序の保障審査を二義的に基本権の保護機能を果たすことになる。では我が国はどちらに属すのか?

学説を調べると、最高裁判所にドイツ連邦憲法裁判所のような抽象的違憲立法審査権が与えられているか、それとも通常の訴訟事件解決に必要な限りでの審査権なのかという論点でまず通説はアメリカ型の付随的違憲立法審査権限にとどまるというものだ。さらに…

正しいTPPの止め方 ―条約承認の手続き

もはや原発もTPPも国民感情は否定的である。安倍総理は、にも関わらずそれらをやめると云へないことに深く敬意を表する。しかし双方とも安倍総理にしか止めることも止めることも出来ないのだから、決断は早いほうが国益になる。

さてTPPの議論で荒唐無稽なのは、交渉に参加したら抜けられないとか、条約は憲法より優先されるので大変だとはいう主張である。もし抜けられない交渉があるのであればそれはマフィヤか何かの交渉なのだろうか。抜けられないのであれば交渉とは呼ばないし、費用をかけて集まる必要もない。さらに滑稽なのは条約が憲法をも優先されるというものだ。国内法というのであればまだしも憲法より優先されるという議論には開いた口が塞がらない。そこで保守的アプローチ戦略第2弾として、憲法によるTPP阻止の戦略を議論してみたい。
憲法と条約の関係を以前国際法の教科書から抜粋して紹介したことがあるが、今回は日本国憲法の解釈学説の立場からの議論を中心に検証してみたい。まず条約を交渉する権限は、憲法の73条3項に、
条約を締結すること。但し、事前に、時宜によつては事後に、国会の承認を経ることを必要とする。 内閣の権限として規定がある。少なくとも条約の締結は国民の付託により内閣の専権事項となっている。内閣が条約を締結することに対して国民から法的に異議を唱えることはできなくもないが、手続き的に正しくない。しかし国民が内閣の締結した条約に唯々諾々と従うのが憲法の規定かといえばそうではない。内閣の締結した条約を批准する手続きが規定されている。条文後半の国会の承認を経ることを必要とするとは一時的な熱狂で内閣を信任した国民が冷静になる期間を設ける意味で重要な手続きだ。

さらに、61条に、
条約の締結に必要な国会の承認については、前条第二項の規定を準用する。 と規定されるように衆議院優先の規定があり、予算案と同等な手続きが規定されている。これらはさらに7条の8、
批准書及び法律の定めるその他の外交文書を認証すること。 と、陛下の認証を必要とする。これら、二重三重の手続きはなぜ設けられているのかといえば、それはやはり国民に冷静な判断を求めるためのクーリングオフ期間といえるのだろう。条約が締結された場合には、98条2項の、
日本国が締結した条約及び確立された国際法規は、これを誠実に遵守することを必要とする。…

正しい原発の止め方 ―原子力基本法

左翼運動、例えば成田闘争、反原発脱原発運動や在日米軍基地反対もそうだが、空港や原発、基地をなくすことが目的ではなく、そのイシューで民意を得て日本を転覆させることが目的であるから、彼らに任せておいては、それらは無くならないだろう。彼らにとって問題があることが大事なのだ。タイガースがジャイアンツがあるからこそタイガースであるように、原発や沖縄の基地が存在してそれに反対することが彼らの手段なのだ。

これから私が提案する原発廃止する方法は、期間を区切って全廃することを目的としているので実効的かつ現実的である。デモ行進もいらない、幟もスロー ガンもいらないし、余計なことはしない。左翼運動家やプロ市民というのは政府の陰部を(必要悪)市民感情に訴えて、それを糧にして生活しているのであるから、その陰部が なくなることを最も恐れているのだ。沖縄の基地も本当に基地がなくなっては運動自体が終息するのだから、それこそ栄養失調になってしまう。 政府が関与するには法的根拠が必要である 原子力発電が存在する根拠は何か?それは電力の需要ではない。需要は必要な理由にしか過ぎない。存在根拠は原子力基本法だ。原子力基本法が原子力発電の存在する根拠なのである。「法」である限りはそれを犯した場合には罰則が存在する。また現状が違法であるならば法律の条文を変えるか存在自体を消し去るしかない。もちろん現実に存在して国民生活や雇用に機能している存在をある日突然消し去ることは出来ない。審議して警告して改善させ、改善不能であれば、ステークホルダーに告知して終わらせるのが民主的な手続きだ。

具体的に政府にどのようなアプローチが有效かというと、原子力基本法の第1条(目的)に、
この法律は、原子力の研究、開発及び利用(以下「原子力利用」という。)を推進することによつて、将来におけるエネルギー資源を確保し、学術の進歩と産業の振興とを図り、もつて人類社会の福祉と国民生活の水準向上とに寄与することを目的とする。 とある。人類の福祉と国民生活の水準向上とに寄与しなければならないわけだ。さらに2条(基本方針)では、
原子力利用は、平和の目的に限り、安全の確保を旨として、民主的な運営の下に、自主的にこれを行うものとし、その成果を公開し、進んで国際協力に資するものとする。
2  前項の安全の確保については、確立された国際的な基準を踏…