正しい原発の止め方 ―原子力基本法

左翼運動、例えば成田闘争、反原発脱原発運動や在日米軍基地反対もそうだが、空港や原発、基地をなくすことが目的ではなく、そのイシューで民意を得て日本を転覆させることが目的であるから、彼らに任せておいては、それらは無くならないだろう。彼らにとって問題があることが大事なのだ。タイガースがジャイアンツがあるからこそタイガースであるように、原発や沖縄の基地が存在してそれに反対することが彼らの手段なのだ。

これから私が提案する原発廃止する方法は、期間を区切って全廃することを目的としているので実効的かつ現実的である。デモ行進もいらない、幟もスロー ガンもいらないし、余計なことはしない。左翼運動家やプロ市民というのは政府の陰部を(必要悪)市民感情に訴えて、それを糧にして生活しているのであるから、その陰部が なくなることを最も恐れているのだ。沖縄の基地も本当に基地がなくなっては運動自体が終息するのだから、それこそ栄養失調になってしまう。

政府が関与するには法的根拠が必要である

原子力発電が存在する根拠は何か?それは電力の需要ではない。需要は必要な理由にしか過ぎない。存在根拠は原子力基本法だ。原子力基本法が原子力発電の存在する根拠なのである。「法」である限りはそれを犯した場合には罰則が存在する。また現状が違法であるならば法律の条文を変えるか存在自体を消し去るしかない。もちろん現実に存在して国民生活や雇用に機能している存在をある日突然消し去ることは出来ない。審議して警告して改善させ、改善不能であれば、ステークホルダーに告知して終わらせるのが民主的な手続きだ。

具体的に政府にどのようなアプローチが有效かというと、原子力基本法の第1条(目的)に、
この法律は、原子力の研究、開発及び利用(以下「原子力利用」という。)を推進することによつて、将来におけるエネルギー資源を確保し、学術の進歩と産業の振興とを図り、もつて人類社会の福祉と国民生活の水準向上とに寄与することを目的とする。
とある。人類の福祉と国民生活の水準向上とに寄与しなければならないわけだ。さらに2条(基本方針)では、
原子力利用は、平和の目的に限り、安全の確保を旨として、民主的な運営の下に、自主的にこれを行うものとし、その成果を公開し、進んで国際協力に資するものとする。
2  前項の安全の確保については、確立された国際的な基準を踏まえ、国民の生命、健康及び財産の保護、環境の保全並びに我が国の安全保障に資することを目的として、行うものとする。
と、特に安全確保を旨としてとあるように、安全の確保は基本方針の中心だということを宣言している。今回事故は第2条の条文を根拠にすれば、原子力発電そのものの存在がすでに、基本方針から逸脱していることの充分な説明にならないか。この辺りを総理に国会で質問するのも手だ。

今回もう一つ重要な法律が原子力災害対策特別措置法だ。当該法律では災害が発災した時の措置を細々規定しているが、第五章 原子力災害事後対策で事後の政府の対応を規定している。法律である限りは、規定していることはやらなければいけないし、規定していないことをやってはいけないことは当然だ。菅元総理は非常事態宣言を布告せずに原子力災害特別措置法による事態収拾を計つた。よって事後の政策の根拠はすべて原子力災害特別措置法にあると解釈して差し支えない。原子力災害特別措置法には、27条の2以降、6まで避難に関することが規定されている。では東電が避難住民に対して行った保障を一部政府が国庫から補填したが、それはどの規定にそって行われたのだろうか。

調べてみると原子力損害の賠償に関する法律という法律が存在し原子力事業者へ被害者への損が保証を規定している。第4章(国の措)以下、16条に、
政府は、原子力損害が生じた場合において、原子力事業者(外国原子力船に係る原子力事業者を除く。)が第3条の規定により損害を賠償する責めに任ずべき額が賠償措置額をこえ、かつ、この法律の目的を達成するため必要があると認めるときは、原子力事業者に対し、原子力事業者が損害を賠償するために必要な援助を行なうものとする。
2 前項の援助は、国会の議決により政府に属させられた権限の範囲内において行なうものとする。
どうやら政府保証は当該法律を根拠におこなられたようだ。この法律の事務管轄は文科省にあり、文部科学大臣の権限範疇になるようだ。しかし見落としてはならないのは3条の規定だ。
原子炉の運転等の際、当該原子炉の運転等により原子力損害を与えたときは、当該原子炉の運転等に係る原子力事業者がその損害を賠償する責めに任ずる。ただし、その損害が異常に巨大な天災地変又は社会的動乱によつて生じたものであるときは、この限りでない。
2 前項の場合において、その損害が原子力事業者間の核燃料物質等の運搬により生じたものであるときは、当該原子力事業者間に特約がない限り、当該核燃料物質等の発送人である原子力事業者がその損害を賠償する責めに任ずる。
東電の賠償責任だが3条の規定を根拠にすれば巨大な天変地異による事故であることは普通ならば明白だろう。つまりこの限りではないはずである。しかし日弁連が発表したレポート、東京電力に対する損害賠償請求では福島原発事故が、「異常に巨大な天変地異」によるものか問題になるが、それには該当せず、東京電力が免責されることはないと指摘している。諸君、東日本大震災が異常に巨大な天変地異でないとしたらいったいどの程度の災害が異常に巨大な災害なのだろうか?この原子力損害の賠償に関する法律は法律として破綻していると云へないだろうか?

つまり異常に巨大な天変地異以外は民間事業者である電力事業者は補償を行わなければならない。営利企業である電力事業者は、そのリスクをふまえて平素の電力価格を決定し対策を講じなければならない。そしてそれは巨大は災害(東日本大震災程度の)では免責されないわけだ。よって政府は事故が発生した場合に支援をしなければならない。支援の形は賠償であるから国民税金が支出されることになる。

人類社会の福祉と国民生活の水準向上とに寄与するどころか、事故が起こる前提で議論しなければならないわけだ。いつ起こるかわからない災害に備えることは到底むずかしい。それでも人類社会の福祉と国民生活の水準向上とに寄与しなければ、原子力基本法の第1条(目的)を達成することは出来ない。原子力発電という技術、事象はすでに原子力基本法に違法な状態であるとは云へないだろうか。原子力発電は危険ではなく違法だから止めるべきなのである。

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